ともに生きる 僕の自立生活と人生ありのまま
著者 鈴木敬治
どんな本
脳性マヒで重度の障害をもつ筆者が、自立生活、移動介護の保障を求める裁判、介護事業所の立上げなどを通じ、介助者や仲間、支援者と「ともに生きる」姿とその意味をカジュアルな言葉で語った一冊。
A5判 168頁
ISBN 978-4-86538-134-4 Ⅽ0036
定価 1,600円+税
発行 山吹書店 2023年2月10日
発売 JRC
主な内容
「おまえ一人で暮らしているんだってな」。
脳性マヒで身体が思うように動かせず言語障害のある鈴木さんが、介助者につきそわれ、ひとりでくらしはじめたある日、こう声をかけられた。良い言葉だなと感じた。
鈴木さんは、障害者がよい介護を受けるために、そして介護者の安定した生活のために、仲間たちと介護事業所を立ち上げた。
望んだことではないが、裁判も起こした。社会でくらすために大切な移動介護の時間を減らされてしまったので、もとに戻してほしいと訴えた。自分にも、ほかの障害者にも、必要な介護は保障されなくてはいけないんだ。
ほかにもたくさんのことがあった。鈴木さんは、健常者と分けられることなく、ともに生きることをめざして活動しているが、本当にむずかしい。それをすなおに、ありのままに伝えたいとこの本を書いた。
あきらめない。弱いひとの声を聞きとることのできる社会、それは鈴木さんの“希望”だ。
[二人の寄稿文も収録]
三井絹子(公的介護保障運動の大先輩)「出版を祝って」
北村小夜(インクルーシブ教育運動の草分け)「鈴木さんの闘いを通して自立を考える」
目次
この本について
出版を祝って 三井絹子
はじめに
◎第一部
こんな足だけど、いろんなところに行ってみたいのさ
僕の原点—「酔っ払い事件」
自立生活に行きつくまで
光明養護学校
卒業してから
二〇代の青春
僕は自立生活を決めた
僕のアパート一人暮らし
「なまずの家」
倉林さんと「共生共走マラソン」
創価学会について
障害当事者運動について
南部労組とのじれん
僕自身の闘いの始まり—安藤さんとの出会い
◎第二部
僕自身の闘い
介助者とのつきあい、介助体制をどうつくっていくのか?
移動時間削減の経緯
「鈴木敬治さんと共に移動の自由をとりもどす会」
2・27JR蒲田駅障害者差別事件
介護事業所「ゆにてぃ」設立
第一次鈴木訴訟判決
第一次訴訟判決後のこと
「ゆにてぃ」の分裂
第二次鈴木訴訟の経過
第二次訴訟判決
第二次訴訟判決後のこと
「ゆにてぃ」解散
介護事業所「スズガモ」設立
闘いのバトン
障害者がおかれている現状
友だち
「スズガモ」のなかで起きてくる問題(1)
「スズガモ」のなかで起きてくる問題(2)
こころのバリアフリー
「六五歳問題」
バリアをつくる弱さ
鈴木さんの闘いを通して自立を考える 北村小夜
おわりに
著者紹介
脳性マヒの障害をもって東京に生まれる。30歳から自立生活を始め、行政が不当に移動時間を削減してきたことに抗し「鈴木第一次訴訟」(2006年判決)、「鈴木第二次訴訟」(2010年判決)を闘い、2度とも実質的な勝利を勝ち取る。
現在、介護事業所共同代表。全国公的介護保障要求者組合・書記長。「だれもがともに!! 共生共走五時間リレーマラソン」代表。「『骨格提言』の完全実現を求める大フォーラム」や「交通行動東京実行委員会」でも活動中。