健太さんはなぜ死んだか —警官たちの「正義」と障害者の命

健太さんはなぜ死んだか —警官たちの「正義」と障害者の命

著者 斎藤貴男

どんな本

障害のある青年が不審者とまちがわれて取り押さえられて亡くなった事件への入念な取材と裁判資料にもとづいたノンフィクション。相模原障害者殺傷事件との類似性についても言及。

四六判・並製/192頁
ISBN 978-4-86538-063-7
定価 1,500円+税
発行 山吹書店 2017年7月5日
発売 JRC

主な内容

2007年9月、佐賀市で、中度の知的障害のある安永健太さん(当時25歳)が仕事から自転車で帰宅途中、不審者と間違われて警官たちに取り押さえられ、路上で命を落とした。
警察は「保護」だったと主張したが、遺族は「逮捕」だったとして刑事・民事の両方の裁判で争った。

民事裁判では、地域の安全を守る警官は、当然、障害者への接し方を知っていなくてはならず、知っていれば事件は避けられた可能性があったことも争点となった。

2016年7月、障害者権利条約を批准した日本では障害のある人の地域生活移行がうたわれる一方で、優生思想から障害者施設での多数の殺傷事件が起こった。

健太さんの事件と10年後の事件から見えてくるものは…。

目次

まえがき

第1章 事件の発生とその後の経過

父の慟哭
最高裁決定
解剖結果の鑑定書
「保護」か「逮捕」か
伯母の登場
反撃に転ずる
女子高生は「殴った」と証言したが
警察側の目撃証人たち
笑う警官
目撃者インタビュー

第2章 健太さんってどんな人?

どんぐり村
誕生と成長
父親ゆずりの才能
ホームランか三振か
スペシャルオリンピックス
“ケネディ家の夢”と日本の現実

第3章 刑事と民事、二つの裁判のゆくえ

民事控訴審が認めた警官の注意義務
倒錯したロジック
泣いていた検事
不起訴から付審判請求へ
被告人有利の付審判の構造
「殴ったか、殴らなかったか」に終始した刑事裁判
民事裁判のゆくえ
無念の地裁判決
控訴理由書
警察官Bの証人尋問
原付きオートバイを蹴ったのか?
激突した意見書

第4章 跋扈する優生“思想”に克つ

相模原障害者施設殺傷事件
犯行を予告する手紙
神奈川県の「検証委員会」
健太さんの事件と通底する何者かの“意思”
建て替え構想のゆくえ
厚生労働省の提言と精神保健福祉法「改正」案
日本政府の人権観と障害者権利条約
障がい者制度改革推進会議の発足、しかし
障害者自立支援法というバックラッシュ
〈年表〉安永健太さん死亡事件の裁判と障害福祉をめぐるできごと

あとがき

障害者権利条約(抄)

著者紹介

斎藤貴男 (さいとう・たかお)

1958年生まれ。ジャーナリスト。
著書に『機会不平等』(岩波現代文庫)、『ルポ改憲潮流』(岩波新書)、『「心」と「国策」の内幕』(ちくま文庫)、『消費税のカラクリ』(講談社現代新書)、『「東京電力」研究 排除の系譜』(角川文庫)、『戦争のできる国へ─安倍政権の正体』(朝日新書)、『失われたもの』(みすず書房)ほか多数。

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